2018年10月22日月曜日

現地調査報告(2018/10/18~10/21@水上,10/19 野外調査1日目)

 10/18から21まで,群馬県利根郡みなかみ町に調査に行ってきた.水上には,生物資源科学部の演習林がある.哺乳類の研究を行うには面積がかなり小さいが,調査機器設置の許可取得が容易なこと,付属の宿泊施設が近接しており比較的安価に滞在できることから,車で一時間ほどの距離にある武尊山周辺のブナ林と合わせて,日大に異動した2014年からメイン調査地の一つとして位置づけてきた.

水上演習林の林道.急峻な地形だが,林道はしっかりと整備・管理されている.

 今回の野外調査初日(10/19)は,演習林内に設置してある20台の自動撮影カメラのデータ回収と電池交換をおこなった.ついでに,これからの雪に備えて,カメラの位置を2~3mの位置に上げた.こうした作業が特段必要なのも,水上が日本海からの湿った空気が入り込んでくる影響で,日本有数の豪雪地帯だからだ.

演習林で作業中の学生.

 もっとも,水上でも降雪量が確実に低下してきている.年によっては,わざわざ樹に登ってまで位置を上げずとも,カメラにまで雪が達しないときもある.

 カメラを継続設置している一つの目的が,こうした変化が哺乳類相に及ぼす影響を検出することにある.これまでの約5年間での変化の一つは,どうやらイノシシの演習林近辺での定住化が進んでいるらしいことだ.イノシシは短足なので雪に弱い.移動性の高い彼らは,雪とともに低地へ立ち去ることが多いとされる.今回演習林を歩いてみても,イノシシが掘り返した後が目についた.イノシシの増加は,林床の環境にも大きな影響を与えそうだ.

 自動撮影カメラの継続設置は,環境の変化がもたらす野生動物への影響を時系列に明らかにするうえでは非常に有効な手段だと思う.ただし,継続設置するのは必ずしも容易ではない.演習林のカメラも時系列の解析のモデルデータとしようと考えていたが,5年間を一つの区切りとするのか,さらなる継続していくのかは,現在検討中だ.
演習林で最も標高の高い高平山山頂から.広葉が美しい.先に見えるのは,藤原ダム.




 

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