このブログ,振り返ってみると,もともとは「調査の様子や研究関連の知識を身近な人に紹介しよう」という動機で始まったものだった.いつの間にか,多くの人にとってどうでもいいセンチメンタルなな内容になってきているので,ちょっと軌道修正を図りたい.
ということで,私にとって今年度3回目の房総調査の様子を記しておく.
今回の目的は,イノシシによる農業被害調査.とくに水稲被害が,どのような空間構造を持った場所で出やすいのかや,被害対策としてどのようなものが有効かを定量的に評価しようというもの.こんな研究は過去にも腐るほどありそうだが,実は統計的なアプローチをしっかり用いた研究は意外なほど多くはない...多分...(この辺の研究をまじめにレビューしたことがないので,実体がどうなっているのかは正直あやしいところがある).私自身は,あまり農業被害それ自体に強い関心があったわけではなかったのだが,千葉県の某研究所のMさんとの共同研究として今年度から取り組むことになった.
「イノシシが水田なんかで何すんの?」と思うかもしれない.まあ,稲穂が潜在的な食物になりそうなことは確かだが,だからと言ってあまり食っている姿は想像しにくい.動画でも写真でもそんなシーンを見たことがない...という人がほとんどだと思う.私も,稲穂を食ったり水田でぬた浴びして倒伏させたりすることは知識としては持っていたが,いまいちどんな感じか想像できていなかった.
今回の調査で,被害の実態を感覚的に理解できた.イノシシは稲穂の部分を器用に食べていた.ひどいところでは,食害があるだけでなく、ほぼすべての稲が踏み倒されていた.自分が農家だったら,間違いなくイノシシのことを嫌いになっただろう.電気柵や金網柵が張り巡らせて対策されているが,十分な効果が出ていない場所も多かった.確かに被害リスクや対策の効果を科学的に検証する必要はありそうだ.
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イノシシが食べた跡(意外にいい写真を撮ってなかった…)
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今回も研究所のMさんには非常にお世話になった.一見したところ優男で頼りない感じさえするのだが,非常に気骨のある魅力的な人だ.正直,私はアトピー性皮膚炎という持病もあり,この時期の調査は結構つらいものがあるのだが,それでも充実した時間を過ごせた.この研究のモチベーションの一つは,彼との共同作業だと言ってもいいかもしれない.データの入力や整理もしなければならないが,来週から北海道に行かないといけなくなった.ちょっとドタバタが続くが,焦らず進めていきたいところだ.
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